長坂蛾庭

2017年6月15日

クマヤナギトガリキジラミ Trioza berchemiae

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, キジラミ, — Hepota2 @ 00:44

少し前の5月27日、クマヤナギの葉っぱにクマヤナギハフクロフシというゴールを見つけました。クマヤナギトガリキジラミの幼虫が作るゴールです。

中をみるとまだ若齢っぽい幼虫がいました。

それからしばらくたった昨日(6月14日)に行ってみたらちょうど成虫が出ていました。テネラルっぽいので、これから色は変わっていくかもしれません。

トガリキジラミ科で前翅の後縁に褐色の帯があるのはクマヤナギトガリキジラミだけのようなので間違いなさそうです。

ゴールは薄いヘラ状で裏から出入りできるようです。そのためか幼虫の体も薄っぺらい作りになっています。

学名はPsyl’listで確認してみると Trioza berchemiae Shinji, 1938 から変更ないみたいです。

【参考】

■宮武頼夫・松本浩一・井上広光(2014)キジラミ類(カメムシ目)の絵解き検索.環境アセスメント動物調査手法, 24: 15-59.

林 成多・宮武頼夫(2012)山陰地方のキジラミ図鑑.ホシザキグリーン財団研究報告特別号, (6): 1-97.

2017年6月10日

?マエキヒロズヨコバイ Oncopsis ?flavicollis

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, ヨコバイ, — Hepota2 @ 14:07

少し前になりますが…

シラカバの葉にヨコバイの幼虫を見つけました。(5月2日撮影)

なんの幼虫か気になったのでそのあと調べに行き5月14日に成虫を見つけました。幼虫も成虫も複数見たので親子には間違いなさそうです。

調べてみるとハンノキにつくハンノヒロズヨコバイ Oncopsis alniが近いと思いましたが、次の文献によるとシラカバにはつかないみたいです。この文献だと Oncopsis flavicollis がシラカバにつくしそれっぽいです。
Handbooks for the Identification of British Insects

O. flavicollisの生態写真は以下のサイトで見れます。
British Bugs

九大の目録を見ると日本でも記録があって マエキヒロズヨコバイという和名がついています。

ただ比較的最近日本から Oncopsis属からいくつか新種が記載されたようです。
Okudera, S. (2008) Six New Species of the Leafhopper Genus Oncopsis (Auchenorrhyncha, Cicadellidae, Macropsinae) from Japan. Japanese Journal of Systematic Entomology. 14(2).

この文献を見ようとしたのですが現在CiNiiからもJStageからも見れなくなっていてます。

ということで保留。

フッカ−Sさんのサイトのハンノヒロズヨコバイですが、海外のサイトの写真と比べると色が薄すぎるので、あるいは新しく記載された別種かもしれません。

2017年6月7日

ニガキヒメキジラミの寄生蜂 ヒメコバチ科 ?Tamarixia sp.

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, キジラミ, ハチ目, — Hepota2 @ 14:46

先日見つけたニガキヒメキジラミですが、寄生されているっぽい幼虫がいたので採ってきたところ、やはり寄生蜂が羽化してきました。
2017年6月3日 ニガキヒメキジラミ Calophya shinjii Sasaki, 1954

生時の写真と、脱出したあとです。

詳しく調べるために、冷凍ジメして撮影しました。写真はクリックすると大きくなります。

腹部の拡大写真です。割れ目があって、針っぽいものがしまわれてますね。これが産卵管じゃないかと思います。

おちゃたてさんのブログに同じ仲間と思われる産卵シーンが載ってますが、やはり産卵管は腹部の基部よりから出ています。
2013年3月23日 カシトガリキジラミに産卵するヒメコバチ科の一種(?Tamarixia sp.)

さて、素人がコバチの名前を調べるのは不可能に近いのですが、今回はホストがわかっているので、ezo-aphidさんから教わった方法で調べてみましょう。

NHMのコバチ上科DBの検索ページ

で、”Chalcidoid associates of named taxon”をクリックして、ホストから検索するページに移動します。

今回は、ヒメキジラミ属(Calophya)なので”Associate genus”の欄に”Calophya”を入力してSearchをクリックします。

結果としてPsyllaephagus属とTamarixia属が出てきます。

ネットで画像検索するとPsyllaephagusはまったく違うので、Tamarixia属っぽいというのがわかります。名前が出てきたT. triozaeT. schinaを検索してみます。

Tamarixia triozaeはトマトやジャガイモにつくキジラミParatrioza cockerelliの生物農薬として使われているようです。以下のPDFに載ってました。脛節も黒いので今回見つけたのとは違うようです。
http://www.tomatoesnz.co.nz/assets/Uploads/Tamarixia-factsheet-FINAL.pdf

Tamarixia schinaは2011年に記載されたようです。元記載のPDFが以下のサイトからダウンロードできます。
Zuparko et al. (2011) Two new species of Tamarixia (Hymenoptera: Eulophidae) from Chile and Australia, established as biological control agents of invasive psyllids (Hemiptera: Calophyidae, Triozidae) in California. Zootaxa 2921: 13-27.
Zootaxa 2921: 1-64
背中の棘の配置はよく似ているのですが、やはり脛節が黒いので違うようです。

あとはTamarixiaで画像検索してみましたが、似たようなのは見つかりませんでした。Tamarixia属は52種ほど記録があるようなので、これ以上は無理っぽいです。

結局、よくわかりませんでしたが、多少なりとも知識が広がったようなきがするので…

2017年6月3日

ニガキヒメキジラミ Calophya shinjii Sasaki, 1954

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, キジラミ, — Hepota2 @ 23:01

2017年6月5日、元記載が見れたので修正しました。
2017年6月5日、撮り直してきたので写真を追加しましたが、あまり良い写真は撮れませんでした。ニガキ自体が少なく、手の届く範囲に葉っぱが少なく、個体数も少ないのでかなり難しいです。

今日、大深沢川沿いの遊歩道で見つけたキジラミです。

ニガキです。図鑑にはすごく苦いと書いてありましたが、それほどではありませんでした。若い葉だったからか、私の舌がおかしいのか。

この木の葉にキジラミの幼虫が複数見つかりました。アメ状の分泌物を体にまとっています。葉裏にも葉表にもいました。

成虫です。あまりうまく撮影できませんでした。両方共オスっぽいですね。

触角の先端の2本の剛毛が長いのがヒメキジラミの特徴です。

顔を撮りたかったのですが、失敗しました。

新成虫は腹部が緑色なのと大きさから近似種と区別できるようです。

セグロヒメキジラミ(マルアゴヒメキジラミかもしれません)との比較図です。セグロヒメキジラミが翅端まで2mm、ニガキヒメキジラミは3mm。

クロヒメキジラミにも似ていそうですが、翅形が違うので区別できそうです。


成虫写真は「山陰地方のキジラミ図鑑」に載ってます。

ネットでは韓国のサイトにありました。

学名は現時点で変更ないみたいです。

元記載は 進士織平 (1944) 「虫癭と虫癭昆虫」です。国会図書館のデジタルコレクションで見れます。コマ番号236で448ページが見れます。
虫癭と虫癭昆虫
昭和19年、戦時中に出版されたのはスゴイですね。

引用させていただきました。白い部分です。

和名はナナカマドキジラミでホストはナナカマドになってます。体の色が黄色になってますね。

学名の変更は以下の文献で行われたようです。
Sasaki K. 1954 – A list of the known species and their host-plants of the Psyllidae of Japan (Homoptera). Scientific Report of Matsuyama Agricultural College 14: 29-39.

Psyl’listからPDFが見れます。

こちらも引用

ナナカマドはニガキと似ているので、どこかでホストの誤同定と判断されたと思うのですが、検索してもわかりませんでした。保留。

幼虫を採ってきたので、うまく羽化したら標本にしてみようかと思います。

あと、寄生されているっぽい幼虫も採ってきたのですが、なにか出たら報告します。
2017年6月7日: 寄生蜂でました。こちらを御覧ください。

2017年5月29日

サイカチマダラキジラミ Colophorina robinae

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, キジラミ, — Hepota2 @ 21:29

近所のサイカチの木で見つけました。

サイカチの葉にサイカチハオレフシというゴールを作り、その中で成長します。
サイカチ自体が珍しいので、このキジラミの情報も少ないです。

ゴールです。

ゴールの中を見ると、若齢幼虫から成虫までいました。

成虫です。

終齢幼虫と若齢幼虫です。

近似種にジャケツイバラキジラミがいますが、Cu脈付近に顕著な褐色紋はないことで区別できるようです。

2011年にEuphalerus属からColophorina属に移動されたようです。
Psyl’list
同属だったジャケツイバラキジラミの方はそのままみたいです。

2017年5月17日

シュンランのトゲコナジラミ

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, コナジラミ, — Hepota2 @ 23:55

去年の春ツイッターにて、ああーうさん(岡山県)からシュンランでトゲコナジラミを見つけたとの投稿がありました。その状況を撮影した写真をお借りしました。

この時検体を送ってもらったのですが標本がうまくできなくてそのままになってたのですが、今年Acleris(兵庫県)さんから別途検体を送ってもらいました。これも何度か失敗してあまりうまくできてないのですが、とりあえず現状の標本の写真をアップしておきます。少し検討してみましたが、良くわかりませんでした。

比較のため、以前おちゃたてさんからいただいたカラタネオガタマのトゲコナジラミと、今年府中に行った時にヒサカキから採集したトゲコナジラミの標本写真も一緒にアップしておきます。

以下の標本写真は全て♀です。画像はクリックすると拡大表示されます。全て深度合成しており、背面と腹面がごちゃごちゃに混ざっている場合があるので、鵜呑みにはしないでください。

なお以前カラタネオガタマのトゲコナジラミは以前、ミカントゲコナジラミだろうという記述をしたことがあるのですが、忘れてください。かなり適当に判断してました。すみません。

ヒサカキ(Eurya japonica)のトゲコナジラミ♀。

カラタネオガタマ(Magnolia figo)のトゲコナジラミ♀

シュンラン(Cymbidium goeringii)のトゲコナジラミ♀

参考文献としては、チャトゲコナジラミの記載論文 Kanmiya2011 が役に立つと思うのですが、どうも良くわかりません。この論文ではチャノキとサザンカにつくトゲコナジラミをサンプルとして使用しているのですが、ヒサカキのトゲコナジラミは調べていないようです。なんか違ってるんですが。

いくつか引用しておきます。

Kanmiya2011 p.28より引用。

Kanmiya2011 p.31 より引用。G,Hがチャトゲ、I,Jがミカントゲです。ワックスの量はチャトゲの方が少ないようです。

Kanmiya2011 p. 33 より引用。Eがチャトゲ, Fがミカントゲです。

眼点の位置について比較してみましたが…

良くわかりません。

他の形態も良くわからないので、とりあえず今回はここまでとしておきます。

参考文献
Kanmiya, K. & Ueda, S. & Kasai, A. & Yamashita, K. & Sato, Y. & Yoshiyasu, Y. (2011) Proposal of new specific status for tea-infesting populations of the nominal citrus spiny whitefly Aleurocanthus spiniferus (Homoptera: Aleyrodidae). Zootaxa, 2797, 25-44. — PDF(ZOOTAXA)

2017年4月21日

イタビカズラのムネアブラムシ Reticulaphis foveolatae (Takahashi, 1935)

カテゴリー: 1.自然観察, アブラムシ, カメムシ目, — Hepota2 @ 17:34

先日行ってきた静岡県の有度山で見つけました。

イタビカズラに初めて見るムネアブラムシがいたので調べてみました。

ホストですがイタビカズラだと思います。

葉裏に黒い小さな粒が付いていたので拡大すると、ムネアブラムシ族のようでした。

少し採集して持ち帰っていたのですが、今日見ると産仔している個体がいました。黄色っぽいのは幼虫でしょうね。

ネットでいろいろ調べまして、Reticulaphis foveolatae (Takahashi, 1935) で良さそうに思いました。Takahashi1958 [pp.12-13, Reticulaphis fici foveolatae]にイラストが、Yeh&Ko&Hsu2008 [pp. 40-42]に生態写真と標本写真が載っています。まぁ色とか大きさとか図とかしか見てないんですけど。

Takahashi1958によれば、日本では下関、江ノ島、白浜(和歌山県)、河内長野(大阪)で見つかっているようなので、わりと広く分布しているようです。

以下調べた手順を簡単に書いておきます。

イタビカズラの学名は「樹木の葉」ではFicus nipponicaになってますが、YListではFicus sarmentosaになってます。「樹木の葉」はAPG IIIにしたがっているらしいので、かなり最近に変更されたのかもしれません。

APHIDS ON HTE WORLD’S PLANTSでFicus sarmentosaにつくアブラムシを調べます。
このページ
で調べると3種類載っています。そのうちムネアブラムシ族はReticulaphis foveolataeだけです。

Aphid species fileのReticulaphis foveolatae のページを見ると文献が見つかります。

文献はCiNiiで検索すると見つかります。

普通はここで文献が見れないことが多いのですが、今回は運よくオープンアクセスで見ることができました。

【参考文献、WEBサイト】
[1] 林 将之 「樹木の葉」 山と渓谷社
[2] YList
[3] APHIDS ON THE WORLD’S PLANTS
[4] Aphid Species File
[5] CiNii
[6] Takahashi, R. (1958) Thoracaphis and some related new genera of Japan (Aphididae, Homoptera). Insecta Matsumurana, 22(1-2), 7–14. PDF(HUSCAP)
[7] Yeh & Ko & Hsu (2008) Review of the East-Asian genus Reticulaphis (Aphididae: Hormaphidinae), with two new species. Zootaxa, 1782: 34-48. PDF(ZOOTAXA)

2017年4月20日

ヤブニッケイのシロカイガラムシ

カテゴリー: 1.自然観察, カイガラムシ, カメムシ目, — Hepota2 @ 23:24

昨日、静岡県の有度山に行ってきました。

ヤブニッケイと思われる葉っぱにシロカイガラムシがいました。

検索するとおちゃたてむしさんのブログが見つかりました。ヤブニッケイシロカイガラムシだそうです。

このことをツイッターに載せたところ、Kaigaramushiさんから以下のご教示をいただいたので転載しておきます。
「これ近年になって日本のヤブニッケイ(?)から同属別種が記載されているので、プレパラート標本を作って慎重に検討しないと断言できないです。」

やはりカイガラムシの同定は慎重に行った方が良さそうです。

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