長坂蛾庭

2018年5月3日

クロモジムネアブラムシその後

カテゴリー: 1.自然観察, アブラムシ, カメムシ目, — Hepota2 @ 00:55

以前に報告したクロモジムネアブラムシ Thoracaphis linderaeですが、あれからときどき見に行ってたのですが…

4月10日: 少し大きくなってました。

5月1日: ちょっと油断している間に全部大きくなってました。なおこのホストはダンコウバイです。

途中の状態を撮りたかったのですが、しょうがないですね。かなり多いので、また次の機会に。

2018年5月2日

カバハマキヒラタアブラムシ Hamamelistes betulinus

カテゴリー: 1.自然観察, アブラムシ, カメムシ目, — Hepota2 @ 01:14

今年の2月下旬、シラカバで妙なものを見つけました。

アブラムシっぽいのですが…
しばらく観察してみることにしました。

3月27日: かなり膨れてきました。

4月3日: 子供が生まれてました。

4月19日: 葉っぱにゴールが出来ています。裏では第一世代が子供を産んでました。

アブラムシ入門図鑑で調べると、カバハマキヒラタアブラムシ Hamamelistes betulinus (de Horváth, 1896) というのが見つかりました。

日本で記録があるHamamelistes属は3種です。文献[2]によると、H. miyabei マンサクイガフシアブラムシ の二次寄主は Betula maximowicziana ウダイカンバでありゴールの形も違うようです。もう一種の H. kagamii マンサクイボフシアブラムシの二次寄主は Betula grossa ミズメということなので、Betula platyphylla シラカバにつくのはカバハマキヒラタアブラムシとしておいて大丈夫そうです。

アブラムシ入門図鑑によると本種の生活環はかなり特殊なようです。

本種の生活環は特殊で2年で完了する。1年目は一次寄主のマンサクで幹母がサンゴ状の虫こぶをつくり、初夏から秋までをその中で過ごす。第二世代はすべて有翅型で二次寄主のシラカンバへ移住する。一年目の冬はシラカンバの枝上で、コナジラミ型の固着性幼虫が越冬する。2年目の春にその固着性幼虫から継承された世代がシラカンバの葉にコブを作る。晩秋には有翅胎生雌がマンサクに戻り有性世代を生む。これらが交尾後、2年目の冬を卵で越冬する。また二次寄主間を移動する有翅虫もいて、その場合はコナジラミ型の固着性幼虫で越冬しマンサクには依存しない。

― 参考文献 ―
[1] 松本嘉幸 (2008) 「アブラムシ入門図鑑」 全国農村教育協会
[2] Aoki, von Dohlen & Kurosu. (2001) Revision of the Japanese Species of the Aphid Genus Hamamelistes (Hemiptera, Aphididae, Hormaphidinae) Based on the Mitochondrial DNA Sequence Data. Entomological Science. 4(1):59-67. PDF
[3] Aphid species file
[4] Influential Points
[5] 宮崎昌久他 (2016) 日本昆虫目録 第4巻 準新翅類 pp. 99-100

2018年4月19日

カバワタフキアブラムシ Euceraphis betulae (Koch, 1855) と不明種

カテゴリー: 1.自然観察, アブラムシ, カメムシ目, — Hepota2 @ 23:50

2018-05-05修正: 少なくとも2種混じっていたようです。後ろに追加した情報をご覧ください。

今年の2月終わりにシラカバの梢にアブラムシの卵らしきものを発見し、継続して観察してきました。今日見に行くと♀成虫が出現しており、およそ種名がはっきりしたのでまとめておきます。

2月の終わりに見つけた卵です。枝先にたくさんついていました。

3月27日: 幼虫がたくさん出現していました。

4月3日: 少し大きくなりました。

4月11日: おそらく終齢です。

4月19日: 成虫が出て、第2世代が生まれていました。

アブラムシ入門図鑑で見るとカバワタフキマダラアブラムシ Euceraphis punctipennis のようですが、同属にカバワタフキアブラムシ E. betulae というのがいて識別が難しそうです。いろいろ調べて幹母の場合は腹部の黒帯の有無で区別できるように書いてあるサイトをみつけました。
Influential Points

幹母の場合は黒帯がある方がカバワタフキアブラムシということです。今回見つけたのは黒帯があるのでカバワタフキアブラムシとしておこうと思います。

混じっている可能性もあるので、次回確認してきます。

2018-05-05追記

5月4日に見に行ったとき、枝に別種と思われるものを見つけました。

幼虫を見直してみましたが、少なくとも2種類混じっているように思います。茶色っぽくて腹部背面の毛の根元が黒っぽいのがおそらくこちらの幼虫ではないかと。

種名は調べてみましたが、わかりませんでした。

2018年3月27日

スダジイのムネアブラムシ族

カテゴリー: 1.自然観察, アブラムシ, カメムシ目, — Hepota2 @ 20:49

かなり以前に見つけたスダジイのムネアブラムシ族ですが、先日見に行ったら産仔していたので撮ってみました。2枚目は1齢幼虫が歩いているところです。

関連記事です。
ムネアブラムシ族の一種
ムネアブラムシ族の一種 リベンジ

2018年1月24日

カバワタフキマダラアブラムシ?

カテゴリー: 1.自然観察, アブラムシ, カメムシ目, — Hepota2 @ 23:13

去年の10月に撮影しました。

シラカバにいたアブラムシですが、カバワタフキアブラムシかもしれません。

2018年1月23日

アブラムシのマミーに産卵していた寄生蜂

カテゴリー: 1.自然観察, アブラムシ, カメムシ目, ハチ目, — Hepota2 @ 23:03

先日アオキコブアブラムシを見に行ったのですが、幼虫が少しと、マミーが割合多く見つかりました。


■アオキコブアブラムシ(たぶん)の幼虫とマミー

かなりしつこく観察していたところ、マミーに産卵しているハチを発見しました。

マミーに産卵していたということは2次寄生か高次の寄生蜂なのでしょう。
暖かかったせいなのかもしれませんが、真冬にこんな光景が見られるとは思いませんでした。

どうも寒くて家にこもりがちですが、もう少し出歩くようにしたいですね。

2018年1月21日

クロモジムネアブラムシ Thoracaphis linderae

カテゴリー: 1.自然観察, アブラムシ, カメムシ目, — Hepota2 @ 23:00

続きはこちらクロモジムネアブラムシその後

以前から気になっていたアブラチャンの幹につくムネアブラムシを高倍率で撮影してきました。この場所の周辺にはアブラチャンが多く、このアブラムシも多数確認することができました。


■クロモジムネアブラムシ Thoracaphis linderae Shinji, 1926

ダンコウバイにもついていましたが若干大きいかも?

クスノキ科につくムネアブラムシは少ないようですが、難しいかな。

少し調べて、たぶんわかったので追記しておきます。

Aphids on the World’s Plantsでホストから検索して、Thoracaphis linderaeか、Schizoneuraphis himalayensisに落ちました。日本で記録があるのは T. linderaeで、おそらくこちらだろうと思います。

2018年1月26日追記: 青木重幸さまより「Thoracaphis linderaeで間違いないでしょう」とのコメントをいただきました。

調べ方を簡単に書いておきます。

Aphids on the World’s PlantsからHOST LISTS AND KEYSをクリック。アブラチャンの属名はLinderaなのでLin-Lytをクリック。あとは検索表を引きますが、コナジラミっぽい形から2へ、頭胸部の刺毛が長いので3へ。ということでわりと簡単に落ちました。

―参考文献―

● 進士 織平 (1926) マルアルマキの一新種. 動物学雑誌. 38(457) PDF

● TAKAHASHI, Ryoichi (1958) Thoracaphis and some related new genera of Japan (Aphididae, Homoptera). INSECTA MATSUMURANA. 22(1-2), 7-14 PDF

2017年10月30日

本州で見られるヒメキジラミ属4種について

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, キジラミ, — Hepota2 @ 16:15

ヒメキジラミはカメムシ目(Hemiptera)キジラミ上科(Psylloidea)ヒメキジラミ科(Calophyidae)に属する昆虫の総称です。日本で記録のあるヒメキジラミは1属5種です。そのうち本州で記録のある4種の写真がすべて揃ったのでまとめてみました。

なお私はキジラミに関してシロウトで文献の一部を拾い読みしながらこの記事を書いておりますので、間違いもあるかもしれません。確かな情報は専門家によって書かれた文献をご覧になってください。

一般的な注意ですが
・ 以下で全長という用語は翅端までの長さです。キジラミの成虫は標本にして乾燥すると腹部が縮むので、体長ではなく全長が使われるようです。
・ キジラミの♂は♀より小さいようです。腹部先端が後ろに伸びていれば♀、背面側に曲がっていればオスです。
・ キジラミの多くが成虫越冬で秋が深まるにつれて体色が濃くなっていきます。
・ キジラミの成虫は羽化後しばらくするとホストを離れて分散するので、ホスト以外で見つかることもふつうにあります。

ヒメキジラミの特徴

翅脈はキジラミ科と似ていて、触角の先端の2本の剛毛が長いようです。

日本で記録のあるヒメキジラミ科

マンゴーキジラミ Calophya mangiferae マンゴー Mangifera indica 琉球、東南アジア
クロヒメキジラミ
(キハダヒメキジラミ)
C. nigra キハダ Phellodendron amurense 北海道、本州
セグロヒメキジラミ C. nigridorsalis ハゼノキ・ウルシ類 Toxicodendron spp. 北海道〜琉球、台湾
ニガキヒメキジラミ C. shinjii ニガキ Picrasma quassioides 北海道〜九州、韓国
マルアゴヒメキジラミ C. verticornis ヌルデ Rhus javanica 本州、四国、韓国

このうち、マンゴーキジラミを除く4種が本州で見られます。偶然と思われますが4種のホストはどれも羽状複葉で似た雰囲気の葉っぱです。

簡易検索

色だけを使った検索表を示します。厳密な同定には文献を御覧ください。

1a 腹部が黄色から暗褐色 -> 2
1b 腹部が緑 -> 3
2a 触角全体が黄色、前翅は透明 ……… セグロヒメキジラミ
2b 触角の先端が黒、前翅はやや黄色い ……… マルアゴヒメキジラミ
3a 触角の先端が黒、成熟個体の頭胸部は茶褐色 ……… ニガキヒメキジラミ
3b 触角の先端半分くらいが黒っぽい、成熟個体の頭胸部は黒 ……… クロヒメキジラミ

セグロヒメキジラミ Calophya nigridorsalis Kuwayama, 1908

体色は黄色から暗褐色。触角全体が黄色。前翅は透明。額錐は横に広がる。全長は2mm前後。幼虫のホストはハゼノキ、ウルシ類。

北杜市ではウルシ、ヤマウルシはかなり普通に見られますが、幼虫は局所的に集団で発生しているようでした。なので幼虫を見つけるのは難しいです。成虫は4種の中ではもっとも多く見られます。


セグロヒメキジラミ ♀ 



セグロヒメキジラミ 1. テネラル♀。2.成熟♂。3.成熟♀ お腹が大きいのは卵が詰まっているのだと思います。4.越冬後♀。


セグロヒメキジラミ 1.額錐は横に広がる。2.幼虫。

マルアゴヒメキジラミ Calophya verticornis Kwon, 1983

体色は黄色から暗褐色。触角の先端2節が黒。前翅は透明で薄い斑紋がある。額錐がほとんどない。全長は2mm前後。幼虫のホストはヌルデ(ウルシ科)。

北杜市ではヌルデはウルシと同じくらい普通に生えていますが、いまだ一個体しか見ていません。来年もう少し観察してみたいと思います。


マルアゴヒメキジラミ♀ 斜め下から見た写真になったので翅形や翅脈はわかりにくくなってます。


下を向いているようで額錐がないのかどうかよくわからない。

ニガキヒメキジラミ Calophya shinjii Sasaki, 1954

頭胸部は赤褐色で腹部が緑色。触角の9,10節(先端2節)が黒。前翅は透明。額錐は下に伸びる。4種の中では最も大きく全長は約3mm。幼虫のホストはニガキ(ニガキ科)。

北杜市ではニガキは多くはないもののポツポツ点在して生えており、本種の幼虫も複数の場所で確認しました。集団で発生している場合と疎に発生している場合があるようで、寄生蜂の存在が影響しているのかもしれません。寄生蜂についてはこちらを御覧ください。


ニガキヒメキジラミ♀


ニガキヒメキジラミ 1. ♂ 2.テネラル


ニガキヒメキジラミ 1.額錐は下に伸びる 2.幼虫 甘露に包まれているのを多く見た。ちなみにこの甘露はものすごく苦い。

クロヒメキジラミ Calophya nigra Kuwayama, 1908

頭胸部が黒で腹部は緑色。触角の9,10節が黒で3〜8節は茶褐色。前翅は透明。額錐は下に伸びる。全長約2.5mm。幼虫のホストはキハダ(ミカン科)。

キハダの同定ができてないので、いまのところ植物園でしか見つけていません。秋にも幼虫を見たので多化性かと思います。


クロヒメキジラミ テネラル 頭胸部はこれから黒くなるものと思われます。


クロヒメキジラミ 1.顔 2.幼虫

参考文献

■Miyatake, Y (1992) A revision of the genus Calophya from Japan (Homoptera: Psylloidea, Psyllidae). Bulletin of the Osaka Museum of Natural History 46: 11-23. PDFダウンロード
■宮武頼夫・松本浩一・井上広光(2014)キジラミ類(カメムシ目)の絵解き検索.環境アセスメント動物調査手法, 24: 15-59.
■林 成多・宮武頼夫(2012)山陰地方のキジラミ図鑑.ホシザキグリーン財団研究報告特別号, (6): 1-97.
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