長坂蛾庭

ブドウコナジラミの検討

よくわからなかったブドウコナジラミを再検討してみました。

もう一度写真を出しておきます。クリックすると縮小していない画像が見れます。

図1 2011年4月30日撮影、東京都府中市、モッコク(葉表)
図2 2011年4月21日撮影、東京都府中市、モッコク(葉裏)

この2つは、ずいぶん違うので同じ種類なのかどうか疑問ですが、とりあえず図2は脱皮直後の可能性があるのかもしれません。

宮武1980のイラストとはずいぶん違うようですが、このイラストのオリジナルはQuaintance & Baker 1917 [2]にあります。Kuwana 1911 [1]のイラストも合わせて引用させていただきました。

図3. a: kuwana1911より、 b:Quaintance&Baker1917より

ずいぶん違いますね。大きな問題はbの横脱皮縫合線が亜縁部まで伸びている点ですが、これはTakahashi1938でも違うと書かれています。

… and the suture between the thorax and abdomen is reaching the margin of dorsal disk, but not the margin of pupa case, in this respect differing from the figures by Quaintance and Baker (1917).

後の違いは、特徴の捉え方の違いでしょうかねぇ…

宮武1980には「周囲に分泌物を出さない」と書かれていますが、Quaintance&Baker1917には「分泌物は出てなかったけど、2個体しか得られず、取れちゃったのかもしんない」と書いてあるようで、それがどこかで変わっていったのかもしれません。この件に関しては原記載を信用すべきでしょう。

On the leaf we have only two specimens. These do not show any secretion from marginal wax tubes, as stated by Kuwana, and it has doubtless been broken off in our material.

とりあえず、今日はここまで。
少し、進展したかな…

—参考文献—
[1]と[2]はどちらもInternet ArchiveとBHLで見れるようです。大きく表示できるInternet Archiveの方をリンクしておきます。PDFもダウンロードできますが、貧弱なパソコンでは重いかもしれません。

[1] Kuwana, I. 1911. The whiteflies of Japan. Pomona College Journal of Entomology. 3: 623-625.
Internet Archive
p623 本文
図は本文の次のページにあります。

[2] Quaintance, A. L. and A. C. Baker. 1917. A contribution to our knowledge of the whiteflies of the sub-family Aleurodicinae (Aleyrodidae). Proceedings of the U. S. National Museum. 51: 377-379, PL47.
Internet Archive
p377 本文
PL47(1-7)図

[3] Takahashi, R. 1938. Notes on the Aleyrodidae of Japan (Homoptera) VI. Kontyu. 12: 74.
CiNii

[4] Takahashi, R. 1954. Aleurolobus of Japan (Aleyrodidae, Homoptera). Kontyu. 20(3,4): 60-61.
CiNii

[5] 宮武頼夫 (1980) 日本産コナジラミ類総目録. Rostria 32: 319


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