長坂蛾庭

BHC無限遠補正化

2021年4月6日:
近いうちに少し修正する予定です。しばしお待ちください。

オリンパスの生物顕微鏡(BHC)に無限遠補正系の対物レンズを付けて撮影する方法についてまとめました。
撮影専用で、アイピースで覗くにはヘッドと対物レンズの交換作業が必要になります。
私の場合はBHCがもう一台あるので特に問題ないです(いつのまにか増殖してました)。
パソコンのモニター画面に表示できれば良さそうですが、それについてはまだ調べてません。

私が観察対象にしているコナジラミという昆虫は長辺が0.5~2mmと生物顕微鏡で観察するにはやや大きめです。それでいて細かい形質を見る必要があるので、できるだけ高解像度で一枚の写真にまとめたいというのが目的であります。ここでの方法が一番ワイドフィールドにできると思います。

別なメリットとして、プリズムのカビとかホコリの影響を減らすことができます。

またヘッドが不要なので鏡基はかなり安く入手できると思います。

対物レンズ
対物レンズ単独で収差が補正されている必要があります。今回入手したのはオリンパスUIS2システム用の UPlanSAPO 10x 0.40 ∞/0.17 と UPlanSAPO 20x 0.75 ∞/0.17です。ebayでそれぞれ6諭吉ほどでした。
取り付けネジはRMSでBHCと同じです。アダプタを必要とする場合は、大きさ的な問題と解像度低下の可能性があるので注意が必要です。
UIS2では同焦点距離が45mmと伸びていますがこれについては問題無さそうです。
オリンパスの生物顕微鏡用としては最高峰のレンズだと思うのですが像面湾曲がかなり酷い気がします。単独補正されていないのかなぁ。深度合成するのでそれほど大きな問題ではありませんが… またFN26.5というのはかなりイカサマくさいです。アイピースを通した目視を想定した数字かもしれません。

結像レンズ(Tube lens)
フォーサーズ機だと125~200mmぐらい、APSCサイズだと180~300mmぐらいが良いと思います。以下の3本をテストしてみましたがNikon135mmは色にじみが出たのでRaynoxのレンズを使おうと思ってます。
(1) Raynox DCR-250 (f=125mm)
(2) Raynox DCR-150 (f=200mm)
(3) Nikon 135mm F3.5

42Φアリガタ
正式な名称はよくわかりませんがここでは42Φアリガタとしておきます。鏡基とヘッドを取り付けるあの部品ですね。ebayから購入しました。「Olympus Dovetail t-mount」等で検索すると出てくると思います。反対側はT-マウントオスネジになってます。ピッチが1mmと0.75mmのものがあるので注意してください。今回購入したのは0.75mmの方です。ネジの仕上げ精度が良くありませんでしたが実用的には問題ないと思います。アルミ製なので少しずつ削れていく気がします。内側はギラギラだったので黒塗りしました。

Raynox用アダプタ
ボーグのM57部品には内側にM52のフィルターネジが切ってあるものがあるのでそれを使ってRaynoxのレンズを埋め込みます。Raynoxは逆向きにするのが正しいはずで比較テストは行ってませんが問題無さそうなのでそのまま使ってます。
42Φアリガタ/M42P0.75オス -> ボーグ7528 M42P0.75メス/M57P0.75メス -> ボーグ7457 M57P0.75オス/M57P0.75オス/M52P0.75メス ->(内側), (外側)
(内側) ステップダウンリングM52オス/M46メス -> ステップダウンリングM46オス/M43メス -> DCR-250
直接M52->M43に落とす中華製のリングがある。
(外側) M57リング -> カメラマウントアダプタ
外側は無限遠に焦点が合うようにボーグM57リングを挿入します。途中にドローチューブを挿入すると便利です。ディスカバーフォト等で扱われている中華製の激安マクロ接写リングのニコン用はM57P0.75なので互換性があります。ただしボーグのオスネジの方が長いので、途中までしかねじ込めません。

Nikon135mm用アダプタ
42Φアリガタ/M42P0.75オス -> ステップダウンリング M42P0.75メス/M52P0.75オス -> Nikon135mmF3.5 -> マウントアダプタ Fマウント/マイクロフォーサーズ
このステップダウンリングは日本のメーカーは作ってませんが中華製のものがAmazonから購入できます。ネジが通ってなくて途中までしか入りませんが…

サンプル
対物レンズ: UPlanSAPO 10x
結像レンズ: DCR-150
カメラ: Olympus OM-D E-M5 MarkII

コナジラミの大きさは縦1.2mmぐらい
ハイレゾショット使用して、最後に1/2に縮小
深度合成がうまくいかなかったので、ほとんど手作業で合成しました(Zereneのレタッチ機能を使いすべて自分で合成)。5時間ほどかかりました。
クリックすると拡大表示されますが、かなり大きな画像(3648×2736/1.1Mbyte)なのでご注意ください。

以下、参考までに。

光学倍率(撮影倍率)
光学倍率 = 結像レンズ焦点距離 / 対物レンズ焦点距離
対物レンズ焦点距離 = 標準結像レンズ焦点距離 / 対物レンズ表示倍率
標準結像レンズ焦点距離(*1):
 Nikon, Leica, Mitutoyo: 200mm
 Olympus: 180mm
 Zeiss: 165mm
対物レンズ表示倍率(*1): 対物レンズに記載されている倍率
*1:用語がよくわからんので作った


 対物UIS2/10x、結像レンズDCR-250(f=125mm)
 対物レンズ焦点距離 = 180 / 10 = 18
 光学倍率 = 125 / 18 = 6.944… 倍

実視野
撮像面の大きさ / 光学倍率


 マイクロフォーサーズ機、光学倍率7倍
 17.3×13 / 7 = 2.47×1.86 (mm)

視野数(フィールドナンバー)
対物レンズのフィールドナンバーは対応している最大の接眼レンズ・フィールドナンバー。
なので、ここから導いた実視野は実用になる範囲と言える。
 有効実視野(*1) = フィールドナンバー / 対物レンズ表示倍率
ただし、フィールドナンバーの定義がおそらく写真向けではなく、回折限界的フィールドナンバー(*1)はこれよりかなり小さそう。


 UPlanSAPO10xの場合、F.N. 26.5、表示倍率10倍なので
  26.5 / 10 = 2.65 (mm)


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