長坂蛾庭

?トウカエデニタイケアブラムシ Periphyllus ?acerihabitans

—2025年2月1日— 大幅に修正。
以前イタヤミドリケアブラムシ(?)としていましたが、ezo-aphidさんからご教示いただき、トウカエデニタイケアブラムシの可能性があるということで、記事を大幅に修正しました。2024年に日本産Periphyllus属を再検討した論文が発表され、それによるとトウカエデに付くニタイケアブラムシは本種だけだということです。
Sugimoto, S. (2024) On the aphid genus Periphyllus van der Hoeven (Hemiptera: Aphididae) from Acer in Japan. Insecta matsumurana. New series, 80, 23-72.
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—ここまで—

5月2日、武蔵野公園で撮影しました。トウカエデで多数見られました。

翅脈がわかりにくいですが、通常型です。有翅型の体長は約2.5mmです。情報が少ないので、もう少しまともな写真を撮ってこようかと思います。

写真1 ?トウカエデニタイケアブラムシ 有翅成虫
Periphyllus ?acerihabitans

いろいろです。越夏型と思われる個体も写ってますが、とても小さくて薄いです。

写真2 ?トウカエデニタイケアブラムシ
Periphyllus ?acerihabitans

越夏型と思われる個体です。体長は約0.6mmです。自然観察大学によると、カエデ類は夏に栄養状態が悪くなるので、越夏型の幼虫で夏眠するらしいです。

写真3 ?トウカエデニタイケアブラムシ 越夏型
Periphyllus ?acerihabitans

—2011年5月14日—
もう一度見に行ってみましたが、通常型はすでにいなくなってました。越夏型は多数見られましたが、やや雰囲気が変わっているような気がしました。中央の個体はあるいてました。

同じ公園にあるイタヤカエデにも、越夏型の幼虫が多数見られましたが、大きさと雰囲気がやや違うような気がしますので、別種かもしれません。こちらは葉表にもみられました。トウカエデの方は葉裏しかみてませんが、こちらは幼木であったこともあって表の方が見やすい位置にあったので。


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コメント

“?トウカエデニタイケアブラムシ Periphyllus ?acerihabitans” への7件のフィードバック

  1. Hepotaのアバター

    写真を追加しました。

  2. ezo-aphidのアバター
    ezo-aphid

    国内のPeriphyllus属の多くは褐色のようなので、種名のviridisは有力候補です。ただし、ご紹介の文献には新種の生体時の色彩が記述されていませんので、確定にはスライド標本を検索表に充ててみる必要があります。
    越夏型の「違う雰囲気」は、1齢幼虫の歩行期と定着期の違い?でしょうか。越夏型で同定できる、という報告は、残念ながら国内にはありません。ちなみに、体周にある平たい葉片は、毛が変形したものということです。これは生存に有用な形質とは思うのですが、どのように役立つのかちょっと想像できません。

  3. Hepotaのアバター

    ezo-aphidさん、情報ありがとうございます。はっきりしないでしょうか? いちおう?付きにしておきますね。葉片は防御に役立っているような気がしますが、どうなんでしょうね。

  4. ezo-aphidのアバター
    ezo-aphid

    この属を再検討した結果が報告されています。Sugimoto, S.(2024) On the aphid genus Periphyllus from Acer in Japan. Insecta Matsumurana 80:23-72.
     それを見ると、なぜか有翅虫の検索表はありません(もっぱら無翅のモルフばかり)。しかしながら、種ごとの寄主特異性が強いようで、Acer属section ごとに寄生するアブラムシはほぼ決まっています(現在の知見では)。
    文献の66頁の表をご覧ください。トウカエデAcer buergerianumに寄生するのは、P. acerihabitans Zhan,1982だけです。当分は「トウカエデニタイケアブラムシ Periphyllus ?acerihabitans Zhan」でよろしいかと。

  5. Hepota2のアバター
    Hepota2

    ご教示ありがとうございます。修正しておきました。

    去年、イタヤカエデとカジカエデにつくニタイケアブラムシを調べていました。イタヤカエデの方は生態情報だけではわかりそうにないのですが、カジカエデの方は現状他に候補がいないようなので、’?’付きで記事を作っておこうかと思います。

  6. ezo-aphidのアバター
    ezo-aphid

     アブラムシ写真の同定には重要な大前提があります(お伝えしてあったか不安)。該当アブラムシの寄主(生育した植物)が確実であることです。有翅虫のみを見つけた場合、その植物が寄主であるとは限りません。分散時などの偶発着止がよくあるからです。2枚目写真のように無翅虫や幼虫と一緒の場合 なら、寄主植物である可能性が非常に高いと信頼できますが。
     樹木を寄主とするPeriphyllusやEeuceraphis などでは、有翅幼虫や有翅虫が(強風で落下して?)草本などに見つかる例がよくがあります。イタドリオマルアブラムシが大増殖した際、幼虫を含むコロニーごと付近の草本に移ったものを見て、珍品の発見とぬか喜びしましたし。
     「新潟県のアブラムシ(3)」越佐昆虫同好会報92:1-21.には、総数150種のうち30種のアブラムシに偶発採集された植物名が載っています。虫キチと自称する馬場金太郎さんの採集、丁寧に全て同定した宗林正人さんの組合わせならばこその報文です。特に、P. californiensis モミジニタイケアブラムシに多く、寄主植物らしいヤマモミジ以外に「ヘラオモダカ、ヤマツツジ、ドウダンツツジ、サラサドウダン、ライラック、サツキ、ナルコユリ、ヤエムグラ、チョウセンハマユウ」(*一時的に飛来していたと思われる植物、と付記)があります。

     イタヤカエデAcer pictus(=mono)のコロニー個体が緑色ならば P. viridisを候補にしてよろしいかと。無翅の成虫を得て、新しい検索表を頼りにお調べください。
       

  7. Hepota2のアバター
    Hepota2

     カジカエデのアブラムシはまだ芽吹いていないときから、越夏型が出るまで観察していたし、複数の株で発生していたので間違いないかと思ったのですが、秋にまったく見られなくなり少し怪しいかもしれませんね。
     イタヤカエデの方は、幹母から産卵まで観察できたのですが、P. viridisとは違うような気がします。新しく記事を作ったので良ければご覧ください。

コメント内に挿入してもらっていた『takoyaki』は不要になりました。

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