長坂蛾庭

Tetraneura 属の一種の雄および卵生雌(たぶん)

虫眼鏡を持って出直してきました。
樹種はケヤキでした。間違ってケヤキにつく事もあるそうです。
近所の公園にもケヤキがあったので、見に行きましたら、有翅虫が同じようについてましたが、写真を撮らなかったのでTetraneura属かどうかはっきりしません。近いうちに調べておきます。

はがれそうな樹皮のまわりに、有翅虫が複数貼り付いていたので、それをめくるとなんかいました。大きい方が雌で、小さい方が雄でしょう。

雌のアップです。体長は約0.8mm。

雄のアップです。体長は約0.6mm。

交尾シーンは見れませんでした。また気が向いたら見に行ってみます。ケヤキはホストではないらしいので、来年どうなるのか調べてみたいと思います。

少し雰囲気の違うのがいました。これが卵を抱えたまま死んだ雌でしょうか? 右にいるのはダニのようでした。

—2011年11月13日—
ezo-aphidさんがコメントされた内容を転載しておきます。

田中正(1961)「陸稲根アブラムシ類に関する研究」にTetraneura, Anoecia, Rhopalosiphumの3種の形態と生態が載っていました。Tetraneura nigriabdominalis オカボノクロアブラムシについて要点を拾い書きします。「産性虫は4-8匹程の子虫(雄6・雌4の比)を産む。雌雄はすでに成熟しており、1回も脱皮することなく直ちに交尾し、両性雌は1卵を産む(一部は産卵されずに雌の死体内で越年する)。」次にも記してありますが、雌雄には口吻がないので吸汁はできません。
 「形態:卵生雌(褐赤色、体長0.78mm、触角5節0.15mm)、無翅雄(汚黄色、体長0.62mm、触角5節0.16mm)、いずれも、口吻・角状管を欠く。」「オカボノクロアブラムシは、秋の産性虫の一部がケヤキに飛来して、樹皮上で産卵が見られるが、これはきわめて稀である。春季に幹母がケヤキ上に現れることは無い。この種の幹母1齢幼虫を、実験的にケヤキに付けたが、まもなく全て死亡した。」

専門家の青木重幸さんから以下のコメントをいただいたので、転載しておきます。

有性世代は摂食しませんが脱皮はします。脱皮殻があってもおかしくありません。この点についての田中正さんの記述は誤りでしょう。


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コメント

“Tetraneura 属の一種の雄および卵生雌(たぶん)” への10件のフィードバック

  1. ezo-aphidのアバター
    ezo-aphid

    こんばんわ。勉強不足で大きな間違いをしたようです。
    Tetraneura属(ニレで越冬)や Colopha属(ケヤキで越冬)ワタムシの産性雌は”成熟した雄・雌を産む”ので、彼らは脱皮しません。・・・・とすると、あの脱皮殻はだれのモノでしょうか。また、産卵雌は1個だけの蔵卵を産まずに死亡し、翌春に崩壊した体から孵化幼虫が出てくるとのことです。雄雌の色違いやサイズは妥当なところだろうと思いますが、形態などの記載が見つからず、確認できません。

  2. Hepotaのアバター

    ezo-aphidさん、こんばんは。
    ヒラタアブの幼虫が、主に小さいものですが多数いましたので、脱皮殻のようなものは吸汁されたカスかもしれません。
    面白い生態ですね。少し雰囲気の違うのがいたのですが、卵を抱えて死んだ雌かも知れませんね。写真追加しておきました。
    とりあえず、ワタムシの一種としておいたほうが良いでしょうか?

  3. ezo-aphidのアバター
    ezo-aphid

    田中正(1961)「陸稲根アブラムシ類に関する研究」にTetraneura, Anoecia, Rhopalosiphumの3種の形態と生態が載っていました。Tetraneura nigriabdominalis オカボノクロアブラムシについて要点を拾い書きします。「産性虫は4-8匹程の子虫(雄6・雌4の比)を産む。雌雄はすでに成熟しており、1回も脱皮することなく直ちに交尾し、両性雌は1卵を産む(一部は産卵されずに雌の死体内で越年する)。」次にも記してありますが、雌雄には口吻がないので吸汁はできません。
     「形態:卵生雌(褐赤色、体長0.78mm、触角5節0.15mm)、無翅雄(汚黄色、体長0.62mm、触角5節0.16mm)、いずれも、口吻・角状管を欠く。」「オカボノクロアブラムシは、秋の産性虫の一部がケヤキに飛来して、樹皮上で産卵が見られるが、これはきわめて稀である。春季に幹母がケヤキ上に現れることは無い。この種の幹母1齢幼虫を、実験的にケヤキに付けたが、まもなく全て死亡した。」
     
     こうしてみると、これはオカボノクロアブラムシと似ている点が多いですね(同属ならあたり前ですが)。ワタムシ類の専門家(兵隊アブラムシに力点?)の青木さんがTetraneura属と思う、とも言われてますし、変更の必要はないでしょう。同定法は、春季のゴールから出る有翅虫と子虫をスライドにして形態観察するしかないようで、その判別点が秋の産性虫にもに使えるものかは不明です。

     アキニレを観察する方が有益かと思いますが、土地勘不足でしょうねー。
    白い殻は、まったく体液が残っていないように見えるので、脱皮殻と思ったのですが。クモの巣にかかってるようなので、別種の古いものなのかもしれませんね。

  4. Hepotaのアバター

    ezo-aphidさん、いろいろ調べてくださりありがとうございます。内容は本文の方にコピーしておきました。
    それっぽいですが、これ以上は難しそうですね。
    すみません、アキニレの自生地は東海以西のようで、ハルニレの方が可能性がありそうです。無いとしたら春の有翅虫が静岡辺りから風に乗ってくることはあり得るのでしょうか?
    この辺にニレがあるかどうかは簡単にはわかりそうにないので、オオムラサキセンターにでも聞いてみようかと思います。

  5. ezo-aphidのアバター
    ezo-aphid

    Ulmus属の分布としては、ハルニレ・オヒョウの方がありそうですね。
    アブラムシ類自体の飛翔力は弱いものですが、風を利用して陸生プランクトンと呼んでもいいくらい広域的に飛散していると思います(南方産の蝶蛾類が、夏場以降に北方で見られるように)。エゾ地でも、アブラムシの越冬不能の系統が見られています。ただし、乾燥には弱いので、梅雨時のような湿っぽい気団とともに移動してるのではないかと。

  6. Hepotaのアバター

    この近くにはニレの木があったとしても少ないと思うので、やはり飛来してきている可能性が高い気がします。
    関係ないですが、兵隊アブラムシというのは気になりますね。ビデオで撮りたいなぁ。

  7. 青木重幸のアバター
    青木重幸

    やはり、ケヤキでしたか。翌春、卵から孵化したアブラムシ(幹母)は、常識的に考えれば、ケヤキにはゴールを形成できず死に絶えてしまうはずです。あと、有性世代は摂食しませんが脱皮はします。脱皮殻があってもおかしくありません。この点についての田中正さんの記述は誤りでしょう。

  8. Hepotaのアバター

    青木重幸さん、ご教示ありがとうございます。脱皮するのであれば問題なさそうですね。いちおう来年、虫コブを探してみます。
    兵隊アブラムシについて知りたくなったので貴著を入手しようと思ったのですが、絶版なんですね。甲府の図書館まで行かないと…

  9. ezo-aphidのアバター
    ezo-aphid

    青木さんありがとうございます。雌雄が脱皮するのなら、状況が全て納得できます(殻が古そうに見えず、近くに多すぎるみたい)。
    hepotaさん、「兵隊を持ったアブラムシ」は「日本の古本屋」のサイトに2冊ありましたよ。どちらもエゾ地の書店ですね。http://www.kosho.or.jp/public/book/aimaisearchresult.do

  10. Hepotaのアバター

    ezo-aphidさん、情報ありがとうございます。手配してみます。

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