長坂蛾庭

2017年6月18日

ウワミズザクラキジラミから出てきた寄生蜂

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, キジラミ, ハチ目, — Hepota2 @ 22:29

少し前になりますが、ウワミズザクラキジラミ Psylla morimotoi Miyatake, 1963を観察していたところマミー化した幼虫を複数確認しました。6月2日撮影。

6つほど採集して持ち帰っていたら、寄生蜂が2種類羽化してきました。

1種目です。

これはおそらくTamarixa属の♀かと思います。
おちゃたてむしさんのブログに出てくる種類と腹部の背面が不定形に単色なのが似ていますね。

2種目です。
こちらは1種目と同じだろうと思ってすぐに冷凍庫に放り込んだので生きているときの写真は撮りませんでした。3個体羽化してきましたが触角から判断してすべて♂のようです。

これらはPsyllaephagusの♂っぽいです。

あと2つのマミーは脱出前に冷凍庫に入れたので、取り出してみたところ♀のようでした。

こちらはおそらくPsyllaephagusの♀かと思います。青っぽい色をしていますが、羽化したあとしばらくすると緑になる可能性も考えられるので、色で判断しないほうが良さそうです。

これ以上のことはわかりそうにないので保留しておきますが、コナジラミもそうなのですが、キジラミもかなり普通に寄生されている印象を受けました。このあたりも日本ではほとんど研究されていないのでしょうね。

2017年6月8日

セモンジンガサハムシの卵寄生蜂 タマゴコバチ科 ?Trichogramma sp.

カテゴリー: 1.自然観察, コウチュウ目, ハチ目, — Hepota2 @ 00:10

2週間ほど前、桜の葉をめくったところセモンジンガサハムシの卵に寄生蜂が止まっているのを発見しました。撮影するためカメラに持ち替えたのですが、逃げられてしまいました。

その時の写真です。

その後気になったので持ち帰っておいたところ、ハチが出ているを見つけて調べていたのですが、脱出痕はなく、別のハチが混じっていたようです。調べるときに卵の殻を破ってしまいました。すると中に、ハチの蛹っぽいものがいっぱい。

そして2日ほど前に寄生蜂が出ているのを発見しました。小さい上に動き回っていたのでピントを合わせられませんでしたが、生きている写真はこれしかないので載せておきます。

冷凍ジメして撮影してみました。

少し調べてみましたが、まったく手がかりがなく、よくわかりませんでした。

タマゴクロバチでしょうか?
情報お待ちしています。

2017年6月9日追記

ツイッターでkenさんから、後脚の附節が3節なのはタマゴコバチ科という情報をいただき調べていたところ、高木氏のタマゴコバチ科の検索表を見つけたので、チャレンジしてみました。コナジラミよりかなり簡単な手順でスライド標本を作りました。ちょっとKOHに漬けすぎたかもしれません。マウントをもっと丁寧に行うべきでした。オスの触角がよくわからない状態になってしまいました。

1枚目がメス、2枚目がオスです。

メスの触角のアップです。およびメスの前翅のアップです。棍棒状節は1節、繋節は2節です。環状節の英語は北隆館の大図鑑では”ring joint”となってましたが、検索してもみつからず、”anellus”になっていたのそのようにしました。

Rs1はインドのサイトを参考にしました。

高木氏の寄生蜂の見分け方に従って調べます。

タマゴコバチ(属までの検索)
体は扁平ではない
前翅は基部から広がる
触角は梗節、柄節を除いて3節以上
 ※4節以上の間違いと判断しました。
 ※環状節を含んで4節と考えました。
触角の棍棒状部は5節以下
前縁脈は翅の前縁に達する
前翅の表面にはまばらに刺毛があり、列をなす
触角の棍棒状部は1節
繋節は明瞭に分かれている
前縁脈はスム−スに枝脈に移行する 明らかな翅毛列がある
前翅には翅毛列Rs1がある

ということでTrichogramma属に落ちましたが…

九大の目録検索で調べると、日本では6種ほど記録がありました。
ズイムシアカタマゴバチ T. japonicum Ashmead, 1904
アゲハタマゴバチ T. papilionis Nagarkatti, 1974 (*)
ヨトウタマゴバチ T. evanescens Westwood, 1833 (*)
ズイムシキイロタマゴバチ T. chilonis Ishii, 1941
キイロタマゴバチ T. dendrolimi Matsumura, 1926 (*)
メアカタマゴバチ T. australicum Girault, 1912
(*)の学名はNHMのサイトに合わせました。

主に鱗翅目の卵に寄生するようですが、NHMのコバチデーターベースで調べると、カメノコハムシ属でも記録があるようです。

画像検索すると似たようなのが見つかりますし、おそらくTrichogrammaということにしておこうと思います。

疲れた。

2017年6月7日

ニガキヒメキジラミの寄生蜂 ヒメコバチ科 ?Tamarixia sp.

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, キジラミ, ハチ目, — Hepota2 @ 14:46

先日見つけたニガキヒメキジラミですが、寄生されているっぽい幼虫がいたので採ってきたところ、やはり寄生蜂が羽化してきました。
2017年6月3日 ニガキヒメキジラミ Calophya shinjii Sasaki, 1954

生時の写真と、脱出したあとです。

詳しく調べるために、冷凍ジメして撮影しました。写真はクリックすると大きくなります。

腹部の拡大写真です。割れ目があって、針っぽいものがしまわれてますね。これが産卵管じゃないかと思います。

おちゃたてさんのブログに同じ仲間と思われる産卵シーンが載ってますが、やはり産卵管は腹部の基部よりから出ています。
2013年3月23日 カシトガリキジラミに産卵するヒメコバチ科の一種(?Tamarixia sp.)

さて、素人がコバチの名前を調べるのは不可能に近いのですが、今回はホストがわかっているので、ezo-aphidさんから教わった方法で調べてみましょう。

NHMのコバチ上科DBの検索ページ

で、”Chalcidoid associates of named taxon”をクリックして、ホストから検索するページに移動します。

今回は、ヒメキジラミ属(Calophya)なので”Associate genus”の欄に”Calophya”を入力してSearchをクリックします。

結果としてPsyllaephagus属とTamarixia属が出てきます。

ネットで画像検索するとPsyllaephagusはまったく違うので、Tamarixia属っぽいというのがわかります。名前が出てきたT. triozaeT. schinaを検索してみます。

Tamarixia triozaeはトマトやジャガイモにつくキジラミParatrioza cockerelliの生物農薬として使われているようです。以下のPDFに載ってました。脛節も黒いので今回見つけたのとは違うようです。
http://www.tomatoesnz.co.nz/assets/Uploads/Tamarixia-factsheet-FINAL.pdf

Tamarixia schinaは2011年に記載されたようです。元記載のPDFが以下のサイトからダウンロードできます。
Zuparko et al. (2011) Two new species of Tamarixia (Hymenoptera: Eulophidae) from Chile and Australia, established as biological control agents of invasive psyllids (Hemiptera: Calophyidae, Triozidae) in California. Zootaxa 2921: 13-27.
Zootaxa 2921: 1-64
背中の棘の配置はよく似ているのですが、やはり脛節が黒いので違うようです。

あとはTamarixiaで画像検索してみましたが、似たようなのは見つかりませんでした。Tamarixia属は52種ほど記録があるようなので、これ以上は無理っぽいです。

結局、よくわかりませんでしたが、多少なりとも知識が広がったようなきがするので…

2016年1月1日

シイノキコナジラミの寄生蜂 ハラビロクロバチ科Amitus 属の一種

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, コナジラミ, ハチ目, — Hepota2 @ 00:00

あけましておめでとうございます。
今年は少し暇ができそうなので、またコナジラミについて調べて行きたいと思っています。よろしくお願いします。

去年の5月金華山から採って来たシイノキコナジラミですが、パンパンに膨れていまにも羽化しそうなのがいたので小さなケースに分けて入れておきました。しばらく観察していて変化が無くそのまま忘れていたのですが、年末に調べてみると蛹殻に穴があいておりました。寄生蜂が出たようです。※画像をクリックすると拡大画像が表示されます。

ケース内を注意して探すと小さな寄生蜂の死骸が2匹見つかりました。虫を飼育されている方は寄生蜂が出てくるとガッカリされるかもしれませんが、コナジラミの成虫はどれも似たり寄ったりなので、むしろ蜂が出てきた方がうれしかったりします。

この2匹は触角の先が異なっていました。運良く♂と♀が得られたようです。

こちらは触角の先端がこん棒状になっているのでたぶん♀です。針金のように見えるのは、直径0.15mmの微針で、ハチの体長は約0.68mmです。

下は触角の先端が太くなっていないのでたぶん♂です。体長は約0.61mm。

コナジラミにつく寄生蜂の検索表がEvansのサイトにあったのですが、現在アクセスできません。そのため詳しく調べてませんが、2013年9月22日の記事に登場したAmitus属によく似ているので、この仲間だろうと思います。
追記: テキストはここで見れましたが画像は見れないようです。とりあえずAmitus属は大丈夫そう。
さらに追記: INTERNET ARCHIVE の wayback machineというサイトで見れました。こちら

下のサイトにはAmitus属として22種あげられています。Imagesを押すと画像が見れますし、種名をクリックすると記載された文献に関する情報も得られるようですが、これ以上は調べてません。
Platygastroidea

今回撮影に使用したのはこのシステムです。被写体を置くスペースが狭くかなり使いづらいですが、あまり金と暇をかけたくないのでしばらくこれでいきます。背景はガラスにしてみました。真っ黒になるかと思いきや、なぜだかいい感じのグレーになりました。深度合成ソフトはConbineZPですが、あまりうまくいってないので有料ソフトを試してみようかと思います。

それではまた。

2015年4月13日

ヨモギのコナジラミの寄生蜂(続き)

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, コナジラミ, ハチ目, — Hepota2 @ 21:21

昨日の続きです。

オーストラリアのサイトで検索してみましたところ、不明な形質もありましたが、先を見ながら進んでいくと、Encarsia luteaという種にたどり着きました。かなり近い感じです。

NHMにも情報がありました。Distributionを見ると日本も含まれています。オンシツコナジラミから記録があるようです。
Associatesタブのprimary hostは寄主だと思うのですが、多数のコナジラミとともにヤガ科の蛾が3種類ほど載っています。どうも卵に寄生するようです。

ヨモギのコナジラミから出てきた寄生蜂 (Encarsia ?lutea)

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, コナジラミ, ハチ目, — Hepota2 @ 00:41

去年採集したヨモギのコナジラミBemisiella artemisiaeに寄生されているっぽいのがいたのでケースに入れておいたらいつのまにか羽化してひからびていました。

生態写真を撮ってみましたが…

ひどく大変な上に奇麗に撮れそうにないので、スライド標本にしてしらべました。

Evansのサイトにコナジラミにつく寄生蜂の検索表があります。

触角と翅脈から3へ。

跗節はわかりにくいですがたぶん5節あるので12へ。

とりあえず触角だけ見て13->14->15へ。

刺毛が少ないので、Encarsia属に落ちました(たぶんな)。

腹部の前よりに2本の黒い帯があるようなので、なにかわかりそうな気もしますが…

オーストラリアのEncarsia属の検索表というのがありました。明日また調べてみます。

続きはこちら

2015年3月20日

Aleiodes属のマミーの写真が複数載った文献

カテゴリー: 1.自然観察, 8. 文献, チョウ目, ハチ目, — Hepota2 @ 17:00

ツイッターにも書きましたが、表題のような文献を発見したので報告しておきます。

Shaw, Scott R. (2006) Aleiodes Wasps of Eastern Forests: A Guide to Parasitoids and Associated Mummified Caterpillars. PDF

Aleiodes属はコマユバチ科に属し、鱗翅目の幼虫に寄生してマミーを作る性質があるようです。以前報告したカモドキバチモドキも含まれています。カモドキバチモドキはRogas属から移動されたかも?

記事はアメリカ東部で見られる種に限られていますが、観察眼を養う意味で見ておくと良いかもしれません。日本で見られる種としてマイマイガに寄生するブランコクロカモドキバチ A. lymantriaeが載ってます。

2014年12月6日

マダラカエデコナジラミから出てきた寄生蜂 Encarsia sp.

カテゴリー: 1.自然観察, カメムシ目, コナジラミ, ハチ目, — Hepota2 @ 08:45

11月にオオモミジと思われる葉っぱからマダラカエデコナジラミを多数採種しました。その中に寄生されてるっぽいのがいたのでケースに入れておいたら、これまで見たのとは違うのが出てたのでとりあえずアップしておきます。

寄生されていたコナジラミと出てきたハチです。同じ倍率で撮影したものを合成しましたが、穴の方がちっちゃいですね。

体長は0.7mmぐらいです。

Encarsia属かもしれませんが、この写真では判断できそうにないです。

—2014年12月7日追記—
yamaさまより情報をいただきましてEncarsia nipponicaに似ているということです。たしかにそっくりなので、この種か近縁の種ではないかと思います。
NHM

Wikipediaによりますと、Encarsia属は400種以上記載されていて、実際にはその数倍の種がいるだろうといったことが書かれています。ホストであるコナジラミ等が研究されないと、寄生蜂の研究もできないでしょうから、研究はほとんど進んでいないのでしょう。解明される日は来るのでしょうか?

とりあえず、まったく研究されていないという現状について、細々と情報発信を行っていきたいと思います。

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