2020年11月1日追記: ツイッターに新成虫の写真を載せたところ、宮武先生からクリトガリキジラミで良いと教えていただいたので、大丈夫そうです。ミズナラに付く不明種がいるとの情報もいただきましたので、以後そちらも注意してみたいと思います。
清里の標高1,300mぐらいの場所にある公園にコナラが植えられていて、その葉にキジラミの幼虫がついていました。葉に小さなゴールを作っています。



ホストから調べると、クリトガリキジラミが候補として見つかったのですが、幼虫に関する情報がなくてはっきりしません。とりあえあず?付きでアップしておきます。
おそらくこれから羽化して成虫で越冬すると思います。成虫が見れるといいのですが。
2020年10月30日追記。
新成虫を一匹見つけました。雌のようです。




■ クリトガリキジラミ Trioza quercicola Shinji, 1944
近縁種とは額錐とか雌交尾器とかで区別できるようなのですが、よくわかりませんでした。ただ、近縁種はどれも常緑のカシ類につき、この場所では植えられていない思います。標高700mぐらいだとシラカシが植えられていたりしますが。
そういうわけで、クリトガリキジラミとしておきましょう。
原記載は、下記Psyl’listの Shinji O. 1944 の右側のPDFアイコンをクリックすると見れます。日本語ですが旧字体です。図もなくてよくわかりません。
Psyl’list
「触角は7−9節からなり、第3−7もしくは9節は黒色で糸状」と書かれているのが、少し気になります。まっ、とりあえずいいや。
2020年11月3日追記
成虫の色がついてきたので追加しておきます。触角は4節目(?)から先が黒くなりました。原記載はちょっと意味不明なところがあって、触角は7-9節と書かれているのに10節目が出てきたり、よくわからないのでまぁヨシとしておきましょう。


クロモジでトゲキジラミの成虫が出現していました。
平地ではシロダモで発生するようですが、こちらでは同じクスノキ科のクロモジ、ダンコウバイ、ヤマコウバシなどで発生します。5月ぐらいに産卵、夏は若齢幼虫で過ごし、秋になると成長して羽化するようです。あまり目立たないゴールを作ります。シロダモで発生する系統とはかなり生活様式が異なるようです。

■トゲキジラミTogepsylla matsumurana Kuwayama, 1949
学名は Togepsylla matsumurana として記載され、その後 Hemipteripsylla に移されましたが(Hodkinson 1986)、 また Togepsylla属に戻されたようです(Hodkinson 2009)。
ネットでは多くのサイトが Hemipteripsylla になっているので、ご注意ください。(ワイのところもそうなっていた)
参考:
Psyl’list
清里、イタドリの葉で見つけました。

■イタドリマダラキジラミ Aphalara itadori (Shinji, 1938)
ゴールを作るらしいので、次回忘れずに確認したい。
イタドリはシーボルトによってヨーロッパに移入されたが増えすぎて困っており、
その抑制にイタドリマダラキジラミが利用されるとか。
天敵昆虫学研究室
野辺山方面で見つけたトガリキジラミです。

■ オオトガリキジラミ Epitrioza mizuhonica Kuwayama, 1910
翅脈から無印オオトガリキジラミのようです。日本で記録があるオオトガリキジラミ属は3種で、幼虫はどれもグミ類につきます。ヤマオオトガリキジラミ以前観察しましたね。オオトガリキジラミの幼虫はゴールを作るらしいので来年観察してみたいと思います。
去年、ヤブデマリで見つけたホオジロキジラミですが、いくらか赤く成熟した成虫を見ることができました。


■ ホオジロキジラミ Cacopsylla albigena (Miyatake, 1964)
ヤブデマリの方は5月18日に花を確認しました。5枚の装飾花のうち1枚が小さいことが特徴的みたいです。

エノキの葉にトガリキジラミの幼虫を見つけました。



その後の観察で葉表でも見つけ、葉表にいる方が多いように思いました。


近所ではいろいろな場所で見つかり、甲府でも見つけたのでそれほど局所的に生息しているのではなさそうです。
実はかなり前にも見たことがあるのですが、エノキはフシダニのゴールが大量にできるためあまりチェックしてませんでした。それが今年は気象の影響かフシダニのゴールがほとんど見られません。それでエノキカイガラキジラミのゴールをポツポツ見つけたので秋型を探していたところ、本種を見つけたというしだいであります。
エノキにつくトガリキジラミとしてはエノキトガリキジラミが知られていますがゴールを作るようなので違うようです。またエノキトガリキジラミの近縁種がいるらしいのですが、情報がなくてよくわかりません。
なんとか成虫を得ようと現在観察を続けているところです。
ケヤマウコギのゴールがポツポツ割れており、トガリキジラミの成虫が出てました。
関連記事: その1、その2


■ Trioza stackelbergi Loginova, 1967
オスとメスですね。
得られた成虫や、持ち帰ったゴールから羽化したサンプルを井上広光先生に送って見ていただいたところ、Trioza stackelbergi Loginova, 1967で間違いないとの返事をいただきました。日本新記録です。いずれどこかで報告されるそうですので楽しみにしたいと思います。
※ 種名の公開許可は得ております。
野辺山で見つけました。今年の5月に幼虫と新成虫を見ましたが、今回はすっかり成熟した個体です。

■ シロスジキジラミ Cacopsylla albovenosa (Kuwayama, 1908)
このまま成虫で越冬します。