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先日甲府方面に行ったときに、かなりまとまってアラカシが生えている場所をみつけました。近所ではアラカシは生えていないので詳しく調べていたところ、Neothoracaphi属らしきアブラムシを見つけました。同じ木に太いのと細いの、幼虫らしきもの、パイプ状のワックスで覆われたものなどが付いていいます。

コナジラミとだいたい同じ方法でプレパラート標本にしてみました。となりにあるのはTakahashi1958から引用したイラストです。




日本から記録のあるNeothoracaphis属は5種でTakahashi1958で見ることができます(Microthoracaphis属になってます)。いつものように雰囲気しかみてませんが、太いのはアラカシコムネアブラムシ N. glaucae、細いのはサラマオコムネアブラムシ N. saramaoensisのようです。
ですが日本昆虫目録ではこの2種はまとめられて、サラマオツブムネアブラムシになっています。どうみても別種のように見えるので妙だなぁと思っていたのですが、最初の写真をツイッターに投稿したところ青木重幸先生からメールをいただき、この2種は遺伝子解析の結果同種と判明したということを教えていただきました。また、1枚目の写真の4-6は無翅虫の幼虫で、11は有翅虫の幼虫だということです。
まだ正式に論文は出ていないが準備中とのことでした。学名が変わるようなことを示唆されていたので、昆虫目録の学名と和名は変更されるかもしれません。
参考文献
[1] Takahashi, R. (1958) Two new genera of Aphididaefrom Quercus in Japan (Homoptera). Bulletin of the University of Osaka Prefecture. Ser. B, Agriculture and biology, 8, p.1-7. PDF
[2] Chen, J. & Jiang, L. & Qiao, G. (2011) Revision of Neothoracaphis Takahashi with description of a new species from China (Hemiptera: Aphididae: Hormaphidinae). Oriental insects, 45(2-3), 146-161. ResearchGate
[3] 宗林正人 (2003) 緑化樹木のアブラムシ類(3) 植物防疫, 57(9), 437-439. PDF
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甘利山に行ってきました。標高1,731mですがすぐ下まで車道が延びていて駐車場から30分ぐらいで山頂までいけます。甘利山は山頂付近がレンゲツツジで覆われていることで有名ですが、この時期はとくに見るものはありません。まったく期待はしていなかったのですが、歩いているとハマキガがちらほら飛び出ました。


標準図鑑で調べると、1枚目はゴマフミダレハマキの北海道産♀とほぼ斑紋が同じようですし、2枚めは長野県産の最初の♂に似ていますので、とりあえずその可能性が高そうです。日本でのホストの記録はハマナスですが、海外ではツツジ科も挙げられていました。レンゲツツジの可能性もありそうですね。
甘利山の中腹にある椹池付近で撮影しました。
それほど珍しくはないようですが、高倍率で撮影したので載せておきます。

少し前に同種をツイッターに投稿して鶉亀虫さんから教えてもらいました。
キヅタにいたアザミウマです。初めてみたような気がします。
とりあえず写真だけ載せておきます。

茅ヶ岳の麓で見つけました。イタヤカエデのゴールです。


イタヤカエデハツノフシで良さそうです。
フシダニの一種によって形成されるとか。
採集してきたので、中を見てみました。

動いているのが見えたので、生物顕微鏡で見てみました。単に水で封入しただけです。0.1mmぐらいしかなくてむちゃくちゃ大変でした。

フシダニは細長い体型で4本の脚を持っているそうなので、それっぽいかな。
3週間ぐらい前になりますが、
飯盛山の麓でキジラミが羽化しているのを見つけました。

羽化の様子をGIFアニメーションにしてみました。現地で手持ちで撮影したのですが、20分ほど掛かって大変でした。

よく調べるとウコギのような樹木の実にゴールができていてました。

樹木はウコギに似ていますが少し違うようです。実の付き方からケヤマウコギのようです。ウコギと違って雌雄同株で雌花の脇に雄花がつくようです。
葉っぱです。




枝のトゲです。

枝にもゴールがありました。

羽化した成虫の捕獲には失敗したのですが、これらのゴールをビニール袋に入れて持ち帰ったところ2匹ほど羽化していました。矢印の翅脈はウコギトガリキジラミとはまったく異なっています。

ゴールを1週間ほどおいておいたのですが割れる気配がなくカビが出始めていたので、カッターナイフでカットしてみました。ほとんどが寄生されていましたが、寄生されていなかったものは次々と羽化しだしました。
寄生されていた幼虫です。ピクリとも動かず、少し茶色っぽくなっています。

たぶん寄生されていない幼虫です。動きます。

羽化後少し時間が経過した成虫です。

羽化した成虫とエタノール漬けの幼虫を農研機構の井上広光さんに送って調べてもらい、以下のようなコメントをいただきました。日本未記録種ですがとくに秘密にしなくてもよいという確認を得ましたので、引用しておきます。
成虫はすべて雌でしたが、交尾器が極端に短くはなく、先端がとがることからも、BactericeraではなくTriozaであることが確認できました。
また、幼虫も前翅芽の肩部が前方に張り出さないことからも、Triozaであることがわかります。
極東ロシアから記載され、昨年韓国からも記録された Trioza stackelbergi Loginova, 1967 の可能性が高いです。
プレパラート標本にするなどしてもう少し詳しく見てみますが、今のところ差異が見つかりませんので、本種ということで落ち着くと思います。
日本で見つかるのはこれが初めてです。
和名は「ケヤマウコギトガリキジラミ」としておきましょう。
既知のホストはEleutherococcus (=Acanthopanax) sessiliflorusで、この植物は日本には分布しないのですが、インターネットで画像を調べてみますと、ケヤマウコギに非常に近縁のようです(どちらもヤマウコギ節Cephalopanax;紛らわしいことにヤマウコギはウコギ節Acanthopanax)。
比較的近いうちに正式な報告が出るようですので、出たら追記します。
ダンコウバイにいたコハモグリガ亜科です。2種類いました。
1種目。

後縁1/4付近の褐色紋が特徴的と思うのですが、標準図鑑には載っていませんでした。みんな蛾のPhyllocnistis属未同定種の成虫写真5によく似ています。この仲間はあまり研究が進んでいないようです。
2種目。

ブドウコハモグリにやや近い気がしますがよくわかりません。
この仲間は翅の後ろに虫っぽい模様があって天敵からの攻撃を回避するのに役立っていそうですが、どうなんでしょうね。